「AIエージェントを作ってみたいが、何が必要で、どう開発すればいいのか分からない」——本記事では、AIエージェントの構成要素、開発のステップ、内製と開発会社への依頼の違い、注意点までをわかりやすく解説します。
AIエージェントとは(おさらい)
AIエージェントとは、LLM(大規模言語モデル)を中核に、目的に対して自ら考え、ツールを使い、タスクを自律的に実行するAIです。「答える」だけのチャットボットと異なり、「考えて動く」点が特徴です。
AIエージェントの構成要素
AIエージェントは、主に次の要素で構成されます。
| 要素 | 役割 |
|---|---|
| LLM(頭脳) | 理解・判断・文章生成を担う中核 |
| プロンプト(指示) | 役割・目的・ルールをAIに伝える設計 |
| ツール・API連携 | 検索・計算・社内システム操作などを実行 |
| メモリ | 会話や作業の文脈を記憶する |
| RAG(知識参照) | 社内データを検索し、根拠ある回答を生成 |
これらを組み合わせ、「目的に向けて、必要なツールを使いながら自律的に動く」仕組みを作るのがAIエージェント開発です。
AIエージェントのプロンプトの書き方
AIエージェントのプロンプト(システムプロンプト)は、チャットで1回質問するときのプロンプトとは役割が違います。チャットでは「1回の答え」を指示しますが、エージェントでは人が見ていない間に何度も判断を重ねるため、「何を目指し、何を使い、どこで止まるか」まで書いておく必要があります。
| チャットのプロンプト | AIエージェントのプロンプト | |
|---|---|---|
| 指示する範囲 | 1回の質問と答え | 目的を達成するまでの複数の手順 |
| ツール | 使わないことが多い | どのツールをいつ使うかを指示する |
| 失敗したとき | 人が読み直して聞き直す | やり直し方・人に引き継ぐ条件を事前に書く |
エージェントのプロンプトには、次の6つを書くのが基本です。
| 要素 | 書く内容 | 例(問い合わせ一次対応エージェント) |
|---|---|---|
| 役割 | 誰として振る舞うか | 当社サポート窓口の一次対応担当 |
| 目的・完了条件 | 何ができたら終わりか | 回答を返す、または担当者への引き継ぎ票を作ったら完了 |
| 使えるツールと使う場面 | ツールごとの使いどき | 製品の質問はFAQ検索、注文の質問は注文照会を先に使う |
| ルール・禁止事項 | やってはいけないこと | 検索結果にない内容は答えない。返金を約束しない |
| 人に引き継ぐ条件 | 自分で判断せず止まる場面 | クレーム・契約変更・2回検索しても根拠が見つからないとき |
| 出力形式 | 返す形 | 回答文+参照したFAQのURL、または引き継ぎ票(要件・顧客名・経緯) |
そのまま使えるプロンプトのテンプレート(例文つき)
上の6要素を、問い合わせ一次対応エージェントのシステムプロンプトとして書いた例です。【】の中を自社の業務に置き換えれば、そのまま下書きとして使えます。
# 役割 あなたは【当社サポート窓口】の一次対応担当です。 # 目的・完了条件 お客様の問い合わせに回答します。次のどちらかができたら完了です。 - 根拠のある回答を返した - 担当者への引き継ぎ票を作った # 使えるツールと使う場面 - 【FAQ検索】:製品の使い方・仕様の質問で最初に使う - 【注文照会】:注文・配送の質問で最初に使う(注文番号がなければ先に聞く) # ルール・禁止事項 - ツールの検索結果にない内容は答えない。推測で補わない - 【返金・値引き】を約束しない - 個人情報は、照会に必要な項目以外を聞かない # 人に引き継ぐ条件 次の場合は自分で回答せず、引き継ぎ票を作って止まる。 - 【クレーム・契約変更・解約】の相談 - 2回検索しても根拠が見つからない # 出力形式 - 回答する場合:回答文 + 参照したFAQのURL - 引き継ぐ場合:引き継ぎ票(要件 / 顧客名 / これまでの経緯 / 引き継ぐ理由)
営業メールの下書きや経費チェックなど別の業務に使うときも、見出し(役割〜出力形式)はそのままにして中身だけを書き換えます。特に「人に引き継ぐ条件」は空欄にしないでください。ここが空だと、エージェントは判断に迷ったときも止まらずに作業を続けてしまいます。
書いたプロンプトは、実際の問い合わせや業務データを10〜20件ほど流して、ツールの選び間違い・止まるべき場面で止まらない・形式の崩れがないかを確認し、見つかった失敗をルールに追記していきます。最初から完璧なプロンプトを書こうとするより、この確認と追記を繰り返すほうが早く安定します。
AIエージェントの作り方(5ステップ)
- 目的・業務を決める:どの業務を、どこまで任せたいかを明確にする。
- 設計する:使うLLMの選定、プロンプト設計(テンプレート)、必要なツール連携やRAGの構成を決める。
- 開発する:エージェントを実装し、ツールやデータと接続する。
- 評価・改善する:実際のタスクで精度を確認し、プロンプトや構成を調整する。
- 運用・監視する:本番で動かしながら、品質や安全性を継続的に見守る。
ポイントは、いきなり高機能を目指さず、小さな範囲から作って改善を重ねることです。
個人・初心者がまず無料で試す方法
本格的な開発の前に、個人でも無料でAIエージェントの仕組みを体験することができます。初心者の方は、まずここから始めるのがおすすめです。
1. 対話型AIのカスタム機能を使う
ChatGPTの「GPTs」やClaudeの「Projects」など、対話型AIのカスタム機能を使えば、プログラミング不要で「役割と指示を与えた自分専用のAI」を作れます。指示文(プロンプト)と参考資料を登録するだけで、特定の業務に特化したアシスタントとして動きます。無料プランでも試せる範囲があります。
2. ノーコードツールで自動化とつなぐ
ノーコードの自動化ツールを使うと、「メールを受信したらAIが要約して通知する」といった簡単なエージェント的な動きを、コードを書かずに組めます。ツールの多くに無料枠があり、個人の作業自動化には十分実用的です。
3. 無料で試す際の注意点
- 機密情報を入力しない——無料プランではデータの取り扱い条件が有料版と異なる場合があります。会社の情報を扱う前に利用規約を確認しましょう。
- 「試す」と「業務に組み込む」は別物——個人で試す分には十分ですが、チームや顧客が使う仕組みには、精度の担保・権限管理・システム連携が必要になります。
無料での体験で「これは業務で使える」という手応えを得たら、次のステップが業務への組み込み(本格開発)です。その進め方はAIエージェント導入ガイドで解説しています。
内製と開発会社への依頼、どちらがよい?
簡単な試作であれば内製でも始められますが、業務で安定して使うレベルになると、プロンプト設計・ツール連携・品質担保・セキュリティ対策など、専門的な知見が必要になります。社内にノウハウが少ない場合は、開発会社と組むことで、確実かつ短期間に形にできます。
開発時の注意点
- ハルシネーション対策——RAGなどで根拠を持たせ、誤回答を抑える。
- 品質担保——出力を確認・評価する仕組みを設ける。
- セキュリティ——機密情報の取り扱い範囲とアクセス権を設計する。
よくある質問
個人や初心者でもAIエージェントを作れますか?
作れます。ChatGPTのGPTsなど対話型AIのカスタム機能を使えば、プログラミング不要で自分専用のAIアシスタントを作成できます。まず個人の作業で試し、仕組みを体感してから本格的な開発を検討するのがおすすめです。
無料でAIエージェントを作る方法はありますか?
あります。対話型AIのカスタム機能(ChatGPTのGPTsなど)やノーコード自動化ツールの無料枠を使えば、費用をかけずにエージェント的な仕組みを試せます。ただし無料プランはデータの取り扱い条件が異なる場合があるため、機密情報は入力しないよう注意してください。
ChatGPTだけでAIエージェントは作れますか?
「質問に答える・文章を作る」用途ならChatGPTのカスタム機能で十分作れます。一方、社内システムとの連携や複数タスクの自律実行など、業務プロセスに組み込むレベルのエージェントには、API連携やRAGを含む開発が必要になります。目的に応じて使い分けてください。
AIエージェントのプロンプトには何を書けばよいですか?
役割、目的と完了条件、使えるツールと使う場面、ルール・禁止事項、人に引き継ぐ条件、出力形式の6つが基本です。チャットのプロンプトと違い、エージェントは人が見ていない間に判断を重ねるため、「どこで止まって人に渡すか」を必ず書いておきます。
AIエージェント開発のご相談はフリランへ
株式会社フリランは、自社でAIエージェントを開発する知見を活かし、お客様の業務に合わせたAIエージェントをフルスクラッチで開発します。構想段階からお気軽にご相談ください。
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